七月 早々に梅雨が明けました。昨年に引き続きの空梅雨。そして約束通りに、梅雨明け同時の猛暑到来。昨今、埼玉県の夏の暑さは全国的に有名になりました。ここ数年の酷暑に慣れてきたとはいえ、少しでも長く梅雨のままでいてもらいたかった。幸い夏芽は順調だったものの、深刈り茶園や新植茶園には日照りの影響が心配です。夕暮れの西空はすっかり夏模様。昨年はほとんどなかった、夕立によるお湿りを期待したいところです。
先週 夏芽が無事終了。取引先で製造を取りやめた茶工場があったものの、収量は昨年を上回ることができました。釜炒り製微醗酵茶づくりは夏芽でも継続。『さやまみどり』、『ほくめい』と春芽では扱えなかった品種も実施。そして最後はやはり『ふくみどり』でした。
春芽に比べ、夏芽では萎凋工程中の香気に華やかさが欠けるように思われます。少々硬葉化傾向の茶葉だったこともあり、思い切って萎凋度合いを強めてみました。天日干しの時間を二倍に設定。そして揺青の回数も増加。流石に『ふくみどり』だけあって、揺青工程中の香気には中々のものを感じます。ただ気温も湿度も五月とは比較にならないほど高い中での作業ゆえ、茶葉の色の変化が著しい。橙色に変色し、岩茶のように「三紅七緑」(?) 状態の茶葉が目立ちます。
茶葉の水分含有率が低かったせいか、強度の萎凋のためか、乾燥は通常の半分の時間で完了。残念ながら、乾燥機から立ち上る香気に特筆すべきものはなく、可もなく不可もなくといった具合でした。完成した荒茶の外観は緑色の茶葉にまじり、橙・茶色のかったものが目立ちます。香気にはバラエティーこそ乏しいものの、バニラを思い起こさせる部分があり、夏芽としては良好な部類でしょうか。萎凋工程での苦労が報われたようにも思われます。ただし 味には清涼感、爽快感といった部分に欠け、「緑色の茶」としては疑問符がつくでしょうか。
これで今年度の釜炒りは終了。生産量は荒茶で100kgを越え、最低限の目標を達成。何より、様々な狭山茶品種において、萎凋と製茶に関する数多くのデータが取得できた事が最大の成果かもしれません。