青い空、高い雲、穏やかな風。秋まっ盛りの高麗郷に歌声が響きます。『巾着田ネイチャーコンサート』、高麗郷
巾着田の魅力を市内外に発信すべく企画され、今年は第9回目。昨年は天候不順により残念ながらキャンセルされたので、2年振りのイベントとなりました。ジャズ、クラッシックギター、ブルーグラス、声楽、落語、そして馬頭琴の演奏。高麗郷のシンボル日和田山を背景に、水車小屋前のステージから流れるアコースティックな響きは里山の風景に染み渡ります。私達スタッフ・観客はもちろん 散策の人達も思わず歩みを止め、聴き入っている様子。河岸段丘が円形に取り囲む巾着田は天然のコロッセオのようで、アンプラグドサウンドが似合います。モンゴル人奏者エルデンダライ氏の奏でる馬頭琴の調べは野太く、想像以上の音量が大気を震わせます。私達の情緒にぴったりと寄り添い、瑞々しく
ひびきます。乾燥が厳しく、視界の広いモンゴル高原ではもっと哀愁に満ちた響きなのだろうか … 静かにゆれるコスモスを見ながら、そんな事を考えていました。
『第40回関東ブロック茶の共進会』落札茶を全て試飲しました。いつもながら茶箱の封印を解き、開封するときは気分が高揚するもの。ゆっくりと湯冷ましをかけ、一品一品煎を重ねます。水色 特に水の濃度を観察しながら、滋味とのバランスをチェック、蒸し度を確認。抽出液を口に含み香気をチェック、茶葉の香気と比較します。その結果 今年の落札茶に萎凋香の出品茶はありませんでした。入札会のとき ある程度覚悟してはいたけれど、やはり残念ではあります。でも今年の作柄を考慮すれば、当然かもしれません。五月初旬の手摘みの季節は気温の上がりきらない状況が続いていました。意図的に工程を実施しない限り、萎凋香の茶を産み出すことは難しかったと思われます。また一方で、圧倒的なアミノ酸のうま味成分に満ちた茶も少ないようにも感じました。
それでも品評会ではその年につくられた最高の茶が集まり、審査を受け、順位づけされます。その中で特に高品質と認められたものが入賞茶。外観・水色・香気・滋味 全ての項目でバランスがとれており、今年度最高の狭山茶と表現して間違いありません。一芯二葉摘みで、紺がのったつややかな色沢のある外観。折りも にごりも全くない、清らかな水色。ほのかで端正な香気。滋味と呼ぶにふさわしい、濃厚なうま味。それらが調和され、渾然一体となった入賞茶。落札茶に備前屋の狭山最高級煎茶『若光』に使用すべきものを見出しました。
どの茶をどんな割合で組み合わせようか … ぜいたくな悩みを楽しんでいます。
狭山茶専門店 備前屋 清水敬一郎