1月度.png埼玉県の愛称「彩の国」とは、光あふれる彩り鮮やかな土地の意味だと聞きます。日本一を誇る冬の晴天日数がその根拠で、ときがわ町に旧東京天文台 堂平観測所が建設されたのも同じ理由からです。先月関西から移ってきた知人も冬空の美しさを絶賛。山裾まで澄みきった空V and L.jpg。本当はお湿りがほしいけれど… これだけ完璧な冬型の気圧配置が続いては無理な話。おかげで、今朝は金星と月の出会いをばっちり観ることができました。雲一つない武蔵野の冬空がスクリ-ン。茜色に染まりつつあるコバルトブル-を背景に、細い月が明けの明星に寄り添う姿はまさしくスーパースターの共演。夜が明けてもまだ終演しない、華やかな舞台でした。


 

寒い時季に恋しくなるのが焙じ茶。その理由の一つに焙じ茶の甘さがあると考えられます。バレンタインデーの主役にチョコレートが定着したのは、甘みが恋しい季節だからなのかも。日本茶には甘みの要素がいくつかあります。玉露に代表されるアミノ酸の甘み、火入れ香による甘み etc.…。焙じ茶の場合でんぷん質の甘みとでも表現できるでしょうか?ローストによって複雑な味が単純な甘みに変わったような印象です。コーヒー・麦茶などロースト飲料は多種にわたりますが、それらと共通の香気=ローhojicha.jpgスト香(?)の中に、焙じ茶特有のシンプルな甘さを感じます。一方、口中から喉に伝わる滑らかなうま味もあり、日本茶固有の「味の濃さ」も同時に楽しめる上質な飲料だと思います。

 

夏の水出しとは異なり、蒸し製緑茶はお湯で抽出してからの保管には不向きな飲料。でも焙じ茶は冷水にも熱湯にも対応できる優等生。その点でも冬の飲料にふさわしい日本茶です。 


 

星観の観客席である茶畑、今朝の気温は氷点下6度。ポットで持参した焙じ茶で、身体の内側から暖まります。深い琥珀色の液体には濃縮された温かさが溶け込んでいるかのようでした。


             狭山茶専門店
備前屋 清水敬一郎