「ここにいれば、世界中でとれる紅茶のほぼすべてのタイプを網羅することができる。そう確信していた。だから、スリランカなのである。いや、スリランカじゃなければ、ダメなのである。」(ダイヤモンド社刊 末広美津代著「泣いて笑ってスリランカ」より抜粋)
北海道より小さな島に、低地から高地まで 三段階のエリアに、五つの個性的な茶産地があり、様々なタイプの紅茶が産出される南の島。「スリランカ茶視察団」の一員として、セイロンティーのふるさとを訪ねてまいりました。空路9 時間、時差3 時間30分、北緯7度の首都コロンボは真夏の気候。初めて見るインド洋はおだやかで、熱帯の雰囲気に満ちています。この海の先にインド亜大陸があると想像すると、遠くまでやって来た実感がわいてきます。
スリランカの茶産地は標高と季節風の影響で、品質が決まるとの事。最初に訪れたのは古都キャンディ。スリランカ最後の王の居住地で、最初に茶の栽培が成功した、記念の地でもあります。高地の北側にあり、中間の標高に位置する“Medium Grown Tea”の産地。『午後の紅茶』用原葉の供給地でもあります。
セイロンティーはティーオークションを通じて流通に乗るのに対し、ギラガマ茶園(Giragama Estate)は観光客向けに見学・小売も行い、大成功している茶園。駐車場には観光用の大型バスがならび、活気にあふれています。最上階にある萎凋槽から始まり、揉捻、醗酵、仕分、乾燥全ての工程を見学・説明を受けた後、売店に通される。華やかなサリーで装った女性が大きなティーポットで紅茶を注いでくれます。もちろんミルクティーでいただく。甘い、けれども飲みやすく、美味しい。お代わりをしたくなるくらい・・・。
ここでは、三種類の生茶葉について、説明を受けます。一つは通常の茶葉。残りの二つは日本製紙『サンルージュ』のように赤紫色の茶葉でした。色の違いはタンニン量によるそうで、写真右 緑色の茶葉は通常の紅茶に、中は「シルバーチップ」に左は「ゴールドチップ」になるのだとか? 中と左は茶葉の大きさに差があるものの、色に関しては全く同じにしか観えない。本当に茶葉の違いだけ・・・? いずれにせよ、蒸し製の緑茶を扱う者にとっては、「シルバーチップ」「ゴールドチップ」は憧れの存在。それが、いつでも購入できるのが、生産工場小売の良いところです。
思わず 購入してしまったのは、私ばかりではありませんでした。
狭山茶専門店 備前屋 清水敬一郎