7月度.png小暑をすぎ、梅雨明けを迎えました。今年は少しでも長く梅雨入りしていてほしかったのに・・・、また昨夏のような酷暑がやってくるのでしょうか。うちわ、すだれ、よしず、打ち水といった夏の涼しいキーワードがあふれる中、店先の緑のカーテンは順調に生育中。お茶に限らず、植物は気候にgoya.jpg忠実です。先月末頃より気温が上昇するにつれ、鉢植えのゴーヤーはみるみる生長。つるを伸ばし、葉が繁り、黄色い花が咲き、可愛らしい実を結んでいます。日よけとして役に立つにはまだ時間がかかりそうだけれど、見た目の涼しさを提供しながら、来店のお客様に愛想をふりまいています。

昨年台湾で「東方美人」の製造研修を行ったのを機に炒青機を輸入。一番茶より釜炒り製法に取り組んでいます。釜炒り製法最高のメリットは萎凋に対する懐の深さではなserve.jpgいでしょうか。萎凋の度合いが過ぎると香気が葉傷み臭になってしまう蒸し製法に対し、その許容範囲が広く、萎凋度合いをさらに上げることができます。もちろん蒸し製と釜炒り製では風合いが全く異り、嗜好品としての優劣をつけるのは無意味でしょう。ただし、水出しでの萎凋香表現力については明らかに釜炒り製に軍配が上がります。萎凋の香味が直ぐに伝わり、その甘い口当たりは蒸し製では決して味わえない味覚です。

数年前、同業者の友人から冷たい釜炒り製の萎凋香狭山茶をごちそうになりました。土瓶で氷とともに水出しされ、給された淡い琥珀色の冷たい茶に衝撃を受け、色々試してみたものの、蒸し製の萎凋香は水ではほとんど抽出できないことを思い知らされました。香り高い水出し茶は萎凋香の釜炒りが最適・・・。

今回は市川喜代治君と島田貴庸君が提供してくれた「ほくめい」の春芽に天日萎凋・日陰萎凋・屋内萎凋を実施。釜炒り、再製後ティーバッグに加工。冷たいお茶で萎凋香を手軽に楽しめるのは悪くありません。夏のティータイムに選択肢が増えるというもの。日高産玉露を原材料にしたティーバッグとともに、水出し茶のバリーエションが充実です。
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ほんの少しだけれど、暑い夏が楽しみになってきました。

                   狭山茶専門店 備前屋 清水敬一郎