八月末日、ここ数日風が軽くなったような気がします。湿度が下がってきたのでしょうか。従来の夏ならば、お盆過ぎからこんな具合だったような・・・。
店庭の片隅に真っ白な百合が咲きました。音響メーカー ビクターのシンボルマークに描かれた、犬が耳を傾けている蓄音機のラッパそっくりの花。いつ、だれが植えたのかな?と思っていたら、あちこちの茶畑の端でよく見かけます。ひょっとして、人や車で種子が運ばれてきたのかもしれません。調べてみると、「鉄砲百合」と台湾固有種「高砂百合」の交配種のようです。今年 狭山茶品種を台湾製の製茶機械で釜炒りしたから、という事は全く関係ないけれども、縁を感じてちょっと嬉しいような・・・。百合は花弁もシベも大きく派手やかな花だけど、これほど白いと清々しく感じられます。
『白萩』を仕上げました。今年度4回目の再製です。原材料は5/14 大野利昭 製、 5/17 間野皓介製、5/17市川喜代治製、5/17 間野善雄製の「やぶきた」。備前屋にとって白萩は新茶の作柄・品質を確認する重要な煎茶。新茶の頃は夢中だったので、今回は少し余裕を持って作業しました。今年の新茶期は4月は少雨、5月は晴天が続いたものの気温の上昇が遅く、夏日が少ない天候。遅く始まり、例年並みに焙炉仕舞。収量は少なめの一番茶でした。
昨年の白萩は「じく」の成長が葉に勝ったため、細すぎるほどの外観。余分な「出物」がほとんど無く、きめの細かい味で、仕上も火入れも あっさりと処理できる作柄でした。今年度産も昨年同様にモデル体型。ただし葉の部分がちゃんと成長しており、葉肉に厚みを感じます。相変わらず「出物」は少ないものの、火入れは昨年より時間をかけ、一部分に少々強めの火入れを実施。時間をおいて試飲したところ、はっきりした火入れ香を感じます。味に厚みがあるので、火入れ香とのバランスは良好。やわらかく、繊細な味。欠点は水色がやや落ちた事でしょうか。
今回の仕上品は備前屋の定番商品『白萩』としてだけではなく、『秋新茶』の重要なパーツとしても活躍してもらう予定。萎凋香の下支えをするという大切な役割を担い、名脇役を存分に演じてもらいたいと期待しています。
狭山茶専門店 備前屋 清水敬一郎