今年の桜は三月末が満開予想。春彼岸後の寒気の影響で、数日遅れたようです。先週末 五反田に用事があったので、目黒駅で下車し目黒川沿いを散策しました。今や花見のメッカとなった目黒川。あいにくの花冷え 花曇りながら、週末と満開が重なり、しかも友引の土曜日。駅は雅叙園方面への人波で混雑していました。川に面したこの建物2 階からの眺めも、このうえないものでした。目の高さにある桜花の群れが窓枠一杯に広がり、その艶やかな色は床にも映り込んでいました。劇場でのLive を楽しんでいるかのよう・・・ 一見の価値あり。案内してくれた友人によると、知る人ぞ知る穴場なのだとか・・・。翌日曜日、JR川越線 武蔵高萩駅構内の桜が満開を迎えました。前日白っぽかった花は文字通り「桜色」に染まり、花の密度が増したように思われます。最近入手したレンズで撮影したら、実に雰囲気のある画像が現れました。これはこれで春のけだるさが感じられる、趣のある絵だと解釈しています。
昨年『ふくみどり』を新植した白髭茶園。今年も『やぶきた』園の一部を更新し、『みなみさやか』に改植しました。この品種の種子親は釜炒り向け品種である『たかちほ』とアッサム種・コーカサス種の交配種を掛け合わせたもの。日・印・露のDNAを秘めたハイブリッド。『日本茶AWARD2015 』において好成績を納めた、期待の品種です。
この品種について、釜炒り製法先達 宮﨑亮さんは次のように述べています。「『みなみさやか』は、摘採後の萎凋工程の早い段階で花香が発揚してきます。」(現代農業2013年2月号より抜粋) 狭山の品種でいえば、まさしく『ふくみどり』に該当する特性が想像されます。私が『ふくみどり』を愛するのは、生葉での萎凋効果が判りやすいからで、特に天日萎凋の成果が最も早く表れる狭山品種だと感じています。
ともかく、成り立ちも興味深いし、その血統についても期待が持てる有望な品種のようです。
釜炒り製法に最適と断定し、導入を決定。埼玉県茶業協会・埼玉県茶業研究所を通じ、宮崎県総合農業試験場に苗木を依頼。先月末、秋芽を挿し木したものが届きました。ダンボール箱に整列した半年生のポット苗。木化した軸は太く・逞しい色。成葉は一見で つばき科の植物と判る深く艶やかな濃緑色をなし、『さやまみどり』を思わせる力強さを湛えます。わずか半年間でこんなに成長するものなのか! 産地間の気候の違いを思い知らされます。
幸い、先月・今月とお湿りは充分なものの、すでに芽吹いている苗もあり、武蔵野の気候に耐えられるのか!? 今後の天候が気になるところではあります。
狭山茶専門店 備前屋 清水敬一郎