5月度.png平成28年度新茶が始まり三週間余り。猛烈な勢いで一番茶が進行しました。記録的な早さで始まった手摘み。そして八十八夜には機械摘採も一斉にスタート。中旬過ぎには大部分の取引先で製造が終了。現在稼動中なのは一工場のみという状況です。途中天候不良による中断もなく、質・量 共に豊作でしょう。四半世紀に一度の・・・ いやいや それどころか、私が就業して以来の作柄かもしれません。botan.jpg写真は庭に咲いていた牡丹。萎凋工程の合間に撮影したもの。いつも同じ時季に、同じ場所で花を咲かせているはずなのに、初めて気づきました。

 

 

牡丹は別名「富貴花」とも呼ばれ、「花の王」と称され、古くより愛されてきた花だそうです。備前屋定番商品の最高峰は狭山茶の手摘みシーズンに満開を迎える、そんな牡丹にあやかっています。『富貴昔(ふきむかし)』は100野木園手摘茶を原材料とする「狭山最高級手摘み煎茶」。そして その生茶葉は全て正規に萎凋工程を経てから製茶され、香味共に「花の王」を名乗るに相応しい内質の狭山茶です。

 

 

新茶期 真っ先に販売される『富貴昔』。今期第一号は日高市・狭山市産の荒茶4 種類を個別に再製し、合組を行ったもの。ちなみに品種は『やぶきた』『ゆめわかば』『ふくみどり』の三種類。fukimukashi.jpg茶園や品種によって蒸し度も内質も様々なれど、全ての荒茶に共通しているのは その味の濃さ・・・ それは抽出液が喉を通った後、口に残るのはただ余韻のみ・・・ そして香気が喉の奥から立ち昇ってくる・・・ 特に萎凋香の効いたものは口中がいつまでも幸福感に満たされています。水色は緑のかった濃度のあるもの。オリもなく、また若蒸しではないので 萎凋香が判りやすく良好です。fukimukashi2.jpg

 

 

新茶期の狭山茶には鮮度感があり、それがある種の「甘み」を感じさせるように思います。秋以降 荒茶が後熟し、新鮮香が消えてから出現する、わずかな妥協すら許さないような 切れ味鋭い萎凋香も素晴らしいが、このおだやかな甘みも悪くない。年一度だけの、新茶期限定の旬な味とかおりです。 


 

狭山茶専門店 備前屋 清水敬一郎