師走も中旬。自宅庭にある もみじは葉が大きく、赤い若葉が緑色に変わるタイプで、色づく時季が遅い種類のようです。母が祖母の実家より譲り受けたとの事。他のもみじが茶色になった後もしばらく鮮やかな色を保持し、落葉も樹下の植木の上で しばし色を留めていました。さすがに 昨今の冷え込みで 木の上の葉と共に、すっかり変色しました。先日、同業者が「やっと時季らしくなってきたね」と言いながらやって来ました。とうとう季節がカレンダーに追いついたようです。
先週末、ソニックシティで『狭山茶まつり カラフル彩の国』が開催されました。日本茶インストラクターの人達が発案。その趣旨に賛同した個人とグループが企画運営したイベントです。日本茶インストラクター埼玉支部のメンバーを中心に、茶業界とは無縁の方々が推進した「狭山茶まつり」。茶業界にとって、この上ない企画。狭山茶に携わる一員として参加し、そして当日は大盛況でした。主にクチコミで集まったと思われる来場者は茶に興味を持った方が多く、萎凋香の説明に熱心に耳を傾けてくれました。
他の狭山茶業者と内容が重ならないよう、出店品目を選択。手摘み煎茶『松籟』を初め、『霞野』『炭火入れ』など萎凋香の狭山煎茶。そして釜炒り製微醗酵茶『琥白』。要望のあるままに試飲をかけたところ、釜炒り製の萎凋香にもかなりの高評価をいただけました。せっかくの機会なので、生産量が極めて少ない手摘み微醗酵茶も出品、水出しで試飲いただきました。
日本茶の手摘み専用茶園である野木園。全てを 年一回の摘採に照準を合わせ 徹底的に管理される、世界の茶産地でも稀な茶園。今年は そんな貴重な茶園から手摘みされた茶葉を釜炒り用に、宮岡豊氏と島田貴庸氏より提供してもらいました。野木園手摘み茶の特長は蒸し製法の場合、外観と殊に味の質に現れます。釜炒り製法の場合、味と香気に反映するようです。外観と水色にさほど差が生じないのは、蒸し製法に比べ揉む作業工程が単純なせいでしょうか。
透き通った萎凋香と雑みの少ない澄んだ味 … その香味の印象から、『琥白 ぷらちな』と呼びたいと考えています。
狭山茶専門店 備前屋 清水敬一郎