今週は久し振りにまとまった雨がありました。厳しい冬を過し、耐寒色に染まっている茶畑には 何よりのお湿りです。気がつけば すでに三月。あと半月もすれば茶園の春整枝が始まり、新茶に向けて本格的に始動する時期となります。あちらこちらから梅の便りが届くものの、なぜか店庭の紅梅はつぼみのまま。例年ひなまつりのイベントには、麗しい色と香りで来訪者をむかえてくれるのに・・・。それでも雨上がりの早朝、水滴の残る蕾が朝日にきらめき、気持ちの良いながめです。これで一気に開花するかもしれません。
「高林謙三翁を顕彰する会」が中心となって進めている銅像建立が大詰めを迎えています。今冬、銅像の制作をお願いしている田端功先生の工房を訪問してきました。銅像の原型が仕上がったので、その確認依頼でした。工房のある富山県高岡市はデザイナーだけでなく、鋳造業者、装飾担当者が集まっていて、いわゆる「銅像の城下町」を形成しており、国内銅像の大部分を産み出している街だそうです。
以前制作された粘土模型は30cmほどの大きさでしたが、実際の依頼は7尺(約210cm)のサイズ。工房に案内されると、部屋の中央に据えられた、堂々たる像が目に飛び込んできました。実に大きく、迫力ある姿。180cmの私よりも、ずっと巨大な印象です。一方、髪・眉・髭などは詳細に描かれ、ていねいに手が入れられていました。像の周りを巡りながら、360度あらゆる方向から、ためつすがめつ何度も眺めてみます。特に気に入ったのが目。光が宿っており、力があって、柔和な表情ながら りりしい雰囲気を醸し出しています。これなら茶業界の偉人にふさわしく思われます。今頃は鋳造工程が行われているでしょうか。
建立資金も順調に集まりつつあります。募集期間は今月一杯ですが、目標達成も夢ではなさそうです。2月の集計によると、すでに300名を越す方々から寄付をお寄せいただきました。茶業界においても地元狭山はもちろんのこと、東京、千葉、茨城、栃木、静岡、愛知、福岡、鹿児島の茶業団体・企業・茶業者の方から寄せられています。
これだけ広範囲からの反響は 「顕彰する会」の趣旨に沿っており、とても喜ばしい事です。それにしても高林謙三翁のネームバリューの大きさを実感します。
狭山茶専門店 備前屋 清水敬一郎