6月度.png空梅雨かな ?  と思っていたところ、先週やっと雨が降ってくれました。入梅宣言から二週間も好天が続き、夏芽に向けての施肥もままならない状況。この時期に茶園の乾きを心配するとは・・・。たとえ台風絡みの雨といえども、ありがたい「お湿り」です。今月より、店舗前に緑のカーテン用朝顔が登場。『西洋朝顔』という品種だそうで、asagao.jpgその ごつい葉を見る限り、日よけ向きだと思われます。うつむき加減に咲き始めた花弁が雨にうたれ、清々しくも、いじらしい姿です。

 

 

夏芽が始まる前に、今年度最初の季節商品『荒茶』に取りかかりました。aracha.jpg夏期季節商品のポイントは香気と水色。気温の上昇につれ、人は繊細な香気に鈍感になるようです。新茶の柔らかな香気を楽しめたのは、さわやかな初夏の気候があったからこそ。気温・湿度ともに高くなる夏季には、もっと判りやすい「かおり」がほしくなります。また、涼感を感じさせる抽出液も必須でしょうか。鮮やかな水色。それも深蒸し茶のように黒味を帯びたものでなく、青みのかったものが理想です。

 

 

原材料については品種香と萎凋香を念頭に選択したいところ。けれども、今期の一茶は中間グレードの萎凋香原材料が不足気味。上級品は潤沢なのだけれど・・・。萎凋香については『やぶきた』に頑張ってもらう事にして、品種香については『ふくみどり』。さらに 鮮やかな水色実現のため、20日間以上被せた『こまかげ』をチョイス。20年以上『荒茶』を仕上げているけれども、aracha1.jpg初めて使う品種かなぁ。それでも玉露『こまかげ』の水色は『ごこう』より濃度があるし、宇治品種だけあって癖のある「かぶせ臭」もない。商品趣旨には合っていると思われます。 

 

完成品は水色に少々「おり」があり、濃すぎるような気もします。育ちすぎた茶葉の「あたま」と「粉」以外は選別しないため、黒い軸と白い茎が目立ち、野趣にあふた外観。香味には火入れ香がなく、青臭い香気もありません。


 

そして ほのかに萎凋香が薫り、その奥から玉露『こまかげ』が微かにささやく・・・ といっても合組した当人にしか判らない部分かもしれませんが。

 

 

                  狭山茶専門店 備前屋 清水敬一郎