一ヶ月前には満開の曼珠沙華で賑わっていた高麗郷巾着田に、歌声とメロディが帰ってきました。日高まちづくり研究所による「巾着田ネイチャーコンサート」が昨日開催。昨年・一昨年は雨天により中止だったので、本当に久し振りのコンサートでした。ジャズ・ビッグバンド、ブルーグラス、クラシックギター、サックス・カルテット、フォークソング、落語、最後は客席を交えて「ふるさと」の合唱で閉幕。当日は朝から完全なべた曇。風はないものの太陽が顔を出さず、気温の上がらない肌寒い一日。それでも開催できる喜びは何者にも代えがたく、本来なら屋内で聴くべきサックスの調べが、あるいはアメリカ西部の乾燥した気候に似合うはずのバンジョーの音色が、秋のしっとりした大気に心地よく響くのは、やはり贔屓目なのでしょうか? 私達主催者も、2 年間待たされた出演者達も、高麗郷の秋を思う存分楽しめる好日となりました。
茶業界で秋といえば、品評会。9月27日に行われた『第44回関東ブロック茶の共進会』入札会。荒茶2点・仕上茶4点の計6点を落札。最高の作柄の年に、最良の入札成果でした。入賞茶は荒茶の銀賞と仕上茶の銅賞。銀・銅賞を同時に落札したのはいつ以来だろう? しかも、どちらも入間市上藤沢 清水知弥氏の出品財。今回も縁がつながり、9 年連続の落札となりました。
日本茶品評会の審査は外観・水色・香気・滋味の四項目で、満点のものに比較し配点をする「減点方式」で行われます。ある部分だけ 抜群に優れていても、上位に評価されることはなく、どれほど高次元で外観・内質の調和がとれているか、いかに欠点が少ないかが重視されます。日本茶の輸出華やかなりし頃、粗悪茶排除のために行われたのが品評会の始まりと聞いたことがあります。
【清水知弥作 普通煎茶 荒茶 六席銀賞入賞茶】
さすがに銀賞だけあって、細く長くのびやかなトビが目立つ美しい外観。うまみ成分に満ちた、品評会出品茶ならでは滋味。そして新鮮香。ほんのちょっぴり緑色のかった美しい水色。やはりというか、当然というか非の打ち所のない出品茶です。これも適切な蒸し度の成果にちがいありません。
【清水知弥作 普通煎茶 仕上茶 十二席銅賞入賞茶】
これも非の打ち所のない外観です。そして黄金色に近い水色。香気は銀賞受賞茶に一歩譲るものの、味の濃度はこちらの方が上に感じました。仕上茶だからかもしれません。ただし、全体のバランスでは銀賞受賞茶が勝っているように思います。順位と賞の評価は伊達ではない、といった所でしょうか。
品評会出品茶は生産家の丹精と製茶技術がそのまま表れる作品です。出品茶でなければ実現できない、そして入札会を経なければ決して入手する事のできない、特別な茶でもあります。ましてや入賞茶は芸術品と呼んでも差し支えのないほどの貴重品。このような茶の存在を広く知らしめることも、私達茶商の務めです。
狭山茶専門店 備前屋 清水敬一郎