2月度.png今期の冬将軍はよほど腰が据わっているようで、完璧な冬型の気圧配置が続きました。武蔵野の大地は好天の毎日。当分お湿りは期待できそうにありません。その代わり毎朝約束どおりの大霜。茶畑では葉の上に白い霜の花が満開です。現在茶樹が休眠中の狭山におshimo.jpgいては凍霜害の懸念もないので、朝日に映える霜の花に神秘的な美しさすら感じます。


日高市高萩 白髭野木園



立春 これからは日脚がのび、少しずつ春を感じられる時季を迎えます。
 俳画掛紙交換の時期です。春の題材はかたくり。かたくりは小柄で、うつむきがちに しっとりした色の花を咲かせます。「ひっそり」katakuri.jpgという表現が良く似合うと思います。知名度の割に、実物を見た人は意外と少ないのではないでしょうか。奥武蔵にはまだかたくりの群生地が残されており、今年もハイカーたちの目を楽しませることでしょう。             

2010年4月日高市内にて撮影
                                 

掛紙には薄紫色のかたくりが一群れ咲いています。地表は落ち葉で覆われており、早春の雑木林の風景でしょうか。やわらかな春の陽光を浴びて、静かに開いた花が明るく輝いているかのよう。「かたくりの 花や狭山路 ひとり旅」の句も、画も俳画家
来子耿太(くるすこうた)先生の作品です。
先生の俳画は句の内容と文字の構成、画の配置が絶妙だからなのでしょうか。いつもながら「掛紙」という白い長方形の空間から、対象物を取り巻く光線の色や空気の匂いまで伝わってくるような気がします。
    
katakurikakegami.jpg

 


明るい花の色と濃淡のある葉の色が、かたくりの清楚で可憐な雰囲気を伝えます。同時に春が来た喜びが感じられ、心が浮き立つような愛らしい掛紙です。

              狭山茶専門店 備前屋 清水敬一郎