4月度.png四月を迎えたというのに気温が上がらず、特に明け方は冬並みの低温が続いています。入学式シーズンにもかかわらず、桜は蕾のまま。昨年の四月第1日曜日は満開の桜で大宮公園も上野公園も大賑わいでした。それでも数日前に咲き始めた店庭の「れんぎょう」が一気に盛りを迎えたようです。レモン色に近いrengyo.jpg鮮やかな黄色の花が枝一杯に群れている姿には暖かみを感じ、心がなごみます。春本番までもう少し。

 


 

薄氷(うすごおり)」という富山の銘菓をいただきました。名前の通り薄く張った氷が綺麗に割れたような姿で、色は白ではなく淡いベージュがかっています。芸術的なまでに季節感を表現する和菓子の世界。意匠と名称が見事に一致した菓子です。しおりには「真煎餅に和三盆糖を塗布したもの」と記載されています。さっそくいただきました。一つの氷片(?) は一口か二口のサイズ。サクッとした軽い食感と同時に口中に広がる甘み。食べた瞬間に「おいしい」の言葉が出るほど明快な味。和三盆の「甘み」という味を徹底的に味わうことができる菓子だと感じました。

 

そのとき飲んでいたのが、この前仕上げた「咲玉」。菓子を食べた直後に一口飲んで驚きました。一段と甘くておいしい。狭山茶のどっしりした味が和三盆の「甘み」をさらに引き立てるようです。研ぎ澄まされた、密度の濃い「甘み」とでも表現したらよいのでしょうか。別次元の甘みにすら感じます。


 

そこで他の煎茶との相性も調べてみました。萎凋香の「霞野」は茶の個性が前面に出すぎるようです。火入れ香の強い「宮の尾」は少々野暮く、「白萩」は比較的良好。一番相性の良かったのはやはり「咲玉」。それも少し薄めに淹れたものが最高でした。和三盆のように高品質な砂糖の甘みには、上質でやや控え目の火入れ香が似合うのでしょうか。usugohri.jpg

 

本来はお茶菓子として、抹茶と同時にいただくべき菓子なのかもしれません。お茶うけという言葉があるように、通常はお茶が主役。でも「薄氷」は「菓子うけ」としてお茶を選ぶ、完成度の高い和菓子なのでしょうか。それにしても越中銘菓と狭山銘茶は相性が良好なようです。

 

            狭山茶専門店 備前屋 清水敬一郎