1月度.png一月下旬。早朝の気温は氷点下。日中も10℃を越えない日があり、大寒だけあって 寒い日が続いています。otakiage1.jpgほとんど降雨のないままに、月末を迎えそうな気配。季節風が土ぼこりを巻き上げるのを見るにつけても、お湿りのほしいところです。今年も七草粥をいただき、松飾を下げ、お焚き上げを行い、灰を本店の火鉢に移しました。神事に使用したものは 燃やした後、踏まれないように処理するものだそうです。川に流すのも一つの方法ながら、otakiage.jpgいつの頃からか 店の火鉢に入れるのが習慣となっています。これで一連の正月行事が無事終了。火鉢の灰が新しくなるだけでも、気分が改まるような気がします。

 

 

全国手揉み茶振興会の師範で 入間市に住む友人に 、お茶会用に手揉み茶の制作を依頼。冷凍葉を使用したものです。お茶会で使い切れなかった分を、透気乾燥機で火入れをしてみました。一度試飲し、「もう少しかな」と継続したところで来客。接客終了後再度試飲したところ、temomi.jpg少々火が過ぎてしまい、がっかり。手揉み茶は茶葉一つひとつが長く大きく、茶葉間に空間がたっぷりあり、熱風の通りが良好ゆえ、茶葉への伝熱が極めて早いようです。

 

 

常滑焼の搾り出しを用いて、改めて試飲してみます。湯冷ましを使い、湯温を調整している時間。そのtemomi2.jpg湯を搾り出しに注ぎ、茶葉を浸出している時間。そんなわずかな間にも、気分の高揚を覚えます。茶器の中で、丹念に手揉みされた茶葉の一枚一枚から茶の旨みが抽出されているのだと想像すると…思わず笑みがこぼれます。じっくりと浸出させ、ゆっくりと淹れる。幸い水色に変化はない。透明度が高く、美しい色を湛えています。

 

 

一煎目 火入れ香を感じます。新鮮な香気が身を潜めてしまったようで、少々残念。一方では、火入れ香が「ほいろ香」(=助炭面に打った糊の香味)に取って代わっており、これはこれで悪くないと思う。temomi3.jpg二煎・三煎・四煎・五煎と煎を重ねるにつれ、今度は火入れ香が薄れ、本来の新鮮な香気が復活するではありませんか。いままでよりも 様々な香味を楽しめ、まさに怪我の功名です。


手揉み茶は火が極く入りやすい事。 煎を重ねるごとに香味の味わいが変化する事。最終的に 火入れをする価値が充分にある事etc. 色々と学習できて、有意義な火入れ作業でした。

 

 

抽出ごとに違った風味が楽しめる。これは 葉切れが著しい茶葉ではありえない。手で揉んだ茶だからこそ現出する世界であり、純粋な抽出液を提供できる茶だけに与えられた特権です。

 

 

            狭山茶専門店 備前屋 清水敬一郎