梅雨明け、そして高温。しかも蒸し暑い毎日。日に日に最高気温が上昇するのを痛感します。毎年のことながら、梅雨明け直後の猛暑に慣れるのは容易ではない。しばらくは好天が続き、夏らしい夏になりそうな気配。長期予報での冷夏予想は完全に外れのようです。今のところ、降水量は充分。雑草が目立つものの、茶畑はまずまずの様子。「緑のカーテン」の状況は良好そのもの。夏季の、つる科植物の成長には目を見張るものがあります。今年植えられた白ゴーヤも順調に蔓を伸ばしており、ネットを伝って軒まで届きそう。すでに実をつけ始めました。実の表面は緑色のものと変わりはないようです。でも見た目に涼しそうで、「緑のカーテン」にはふさわしく感じます。味はどうなのでしょうか・・・。
紅茶の荒茶が入荷しました。前年同様、“プロフェッサー”増岡伸一の手によるもの。たっての願いで、今年は製茶現場の見学が叶いました。話には聞いていた、製茶ラインを使用した紅茶の製作。製茶工場前に車を停め、ドアを開けた瞬間から芳香が鼻をくすぐります。茶葉に青さを微塵も残さない 麗しい芳香。茶工場といえば 蒸し葉の香気、あるいは乾燥機から立ち上る鮮度ある香気を思い出すけれども、紅茶を扱っている時の“かおり”はいままで経験したことのない種類。おしゃれです。
初工程からすでに、機械から排出された茶葉は転色を始め、赤黒い茶葉が振動コンベア上を移動するのは不思議な光景。それぞれの工程終了毎にチェックすると、香気の変化の様子が見て取れます。最終工程の乾燥機から送り出される黒い茶葉が大海に収まる姿は「本当に緑茶ラインでつくれるんだ ! 」と得心が行き、感動的ですらあります。今年は2,000kgの夏芽を製茶したのだとか。
製作工程を観てから手にした荒茶には格別な感情が湧いてきます。昨年度のものに比べ、黒味が増した外観。味にはキリッとした渋みがあり、飲後 凡百とは異なる清涼感を感じます。そして透明度の高い抽出液は紅色に淡い黄が注し、相変わらず美しい。
緑茶では鬼っ娘品種の『さやまかおり』が一転、紅茶では器量良しに。“プロフェッサー”の彼だから、毎年様々な改良を加えているはず。今年の『茜』はさらなる別嬪になるべく、一層磨きがかかったようです。
狭山茶専門店 備前屋 清水敬一郎