越生町で開催された『おっぺ川灯籠流し』に参加しました。昨年から始まったこの催しは有志による手づくりイベント。越辺川は市街と県道を隔てるように町を縦断していて、その河川敷広場がイベント会場です。近傍には太田道灌の山吹伝説の舞台となったとされる「山吹の里」があり、申し分のない立地。土曜日の雨ローテーションが確立した今年の夏、問題は台風接近に伴う悪天候。午後は予報通りの荒天。午後6 時過ぎ、激しかった雨も一段落したところで開会を迎えます。灯籠はペットボトルを利用したもの。それぞれに彩色が施してあり、水上で色とりどりの光りを放っています。降雨の影響で、少々流れが速いのが惜しまれます。夜の帳が下りると、黒い川面に映る街の灯を縫うように、ゆらめきながら 静かに流れていきました。
五月末に碾茶加工された『こまかげ』の抹茶が完成しました。大震災による中断をはさみ、五年振りの登場。当初は『ごこう』と並んで製造していたものの、茶にとって最も大切な要素「香気」で物足らなさを感じたので・・・ 反面 水色は優秀。『ごこう』の比ではなく、加工用としては資質が非凡。本来ならば碾茶が熟成する秋、「口切り」を待ってから抹茶に加工すべきだけれど、待ちきれない。とにかく、早く使ってみたい。加工用なのだからと割り切ることにしました。
不調法な私に代わり、茶道の師範である家内が点てます。曰く、前回の『こまかげ』より明らかに点てやすく、品種特有の香気があるものの、味も改善しているとの事。深さが不足気味の夏茶碗にもかかわらず、細かな泡が目立ちます。京焼きの黒い肌と色の対比が美しい。煎茶でも特有の香気と青味のかった水色がとても判りやすい この品種。同じ蒸し製法とはいえ煎茶と抹茶、工程と形状が変わっても品種の個性は共通のようです。
乗用による摘採ながら、20日間以上の被覆と碾茶炉により産み出された狭山抹茶。これを加工用に使用するとは、なんと贅沢な話。どんな抹茶入り製品が登場するのでしょうか。
狭山茶専門店 備前屋 清水敬一郎