「春色の汽車に乗って
海に連れて行ってよ・・・」 そんな歌詞を思い出す風景が展開しました。春たけなわの高麗郷 巾着田、菜の花畑に出現したミニSL鉄道。先週末開催の『第4回菜の花まつり』での一コマです。乗降口も線路も踏切も全て菜の花に囲まれ、青空のもと黄一色の世界を走る、一日限りの春色鉄道。秋の曼珠沙華ですっかり有名になった巾着田は四季折々に、様々な表情を見せる土地でもあります。今年は遅れていたソメイヨシノの満開と重なり、一段と華やかな『菜の花まつり』となりました。日和田山からは黄色と薄紅色に染められた眺望が楽しめることでしょう。
ところが、初日は真冬を思わせるような冷たい雨。しかも雨脚は衰える気配のない、花散らしの雨。予定されていたステージもキャンセルが多く、当然のことながら屋外ステージは閑散。それでも菜の花畑には傘の花が咲き、雨に煙る日和田山を背景に記念撮影を楽しんでいる人達も。さすがに4回目の開催です。イベントは継続する事こそが肝要。
二日目は雨上がりの好天に恵まれ、初夏を思わせるほどに気温が上昇。菜の花畑には、早朝より写真家が集まっています。心地良いそよ風に桜のはなびらが舞い、ちょっとなごり惜しい気も・・・。小高い外周道路からの眺めは、山里の春景色そのもの。水車小屋の前に広がる菜の花。その奥には、古民家 旧新井邸の白壁と甍屋根が目をひきます。背後の山では、桜と急速に芽吹いてきた広葉樹のやわらかな葉が淡い光を放っているかのよう。まつり会場は大盛況。イベントステージは大賑わい。アイスクリームのブースには長蛇の列。市内外からの来訪者を集め、二日分の人出を一日に凝縮したかのような今回の『菜の花まつり』。ちなみに来場者は両日で五千人との事でした。
雨の日と春爛漫の巾着田、全く雰囲気の異なる高麗郷の姿を、この二日間で味わうことができました。
お湿りと気温の上昇で、茶園も動いてきたようです。白髭野木園は発芽が顕著。まだ産毛すら充分に生えそろっていない、生まれたばかりの新芽たち。一昨年は4月下旬に雪が降り、昨年は降雨の少ない春でした。今年は例年にない、さむい寒い冬を乗り切って、萌芽の時期を迎えています。
厳しい寒さを耐え抜いた今年の狭山茶。白髭野木園の新芽からは、例年にないほどの萎凋香あふれる手摘み茶が産み出されることを期待してしまいます。
狭山茶専門店 備前屋 清水敬一郎