5月度.png「日食グラス」が市販されるほど、熱気を帯びた昨日の金環日食。若干の雲はあったものの、ここ武蔵野でも見事な「金環」が観測されました。曇り予報には滅法強い日本での金環食。前回、昭和62年 沖縄本島での金環日食も曇天予報にもかかわらず、当日は快晴。同時期に開催された沖縄国体と共に、盛り上りました。solar eclips1.jpgISO25のKodak社製リバーサルフィルムを一眼レフに詰め、望遠鏡を担ぎ、処女地 沖縄と初体験の日食を堪能して来ました。

「ベイリー・ビーズ」
撮影:平成24年5月21日 午前7時37分 於 日高市


あれから25年。使用する望遠鏡とフィルターは当時と変わらずながら、撮影機材はデジカメに進化 (?) 。あろうことか 新茶の真っ最中!四半世紀の時の流れを感じつつ、自宅で日食が観測できる感慨に浸ります。 前回はカメラのファインダーから覗く太陽像ばかりが印象に残り、今回はデジカメの液晶上で刻一刻と変化する太陽に神経を集中。
「日食中かなり暗くなった」とは家族の感想。solar eclips.jpg同業者の一人は「お茶刈り作業中、急に涼しくなったのが印象的だった」との事。皆、私よりもずっと冷静に、この天文現象を観測していたようです。それでも今回は、金環食中の木漏れ日を撮影する余裕だけはありました。これが25年間の成長の証しなのでしょうか・・・。

 

 

天候の影響を受けながらも、狭山の新茶期は進行中。所沢市・狭山市の早場所ではそろそろ一番茶終了の声も届きます。夏日が続かず、新芽が中々緑に返らない様子だったのが、いよいよ最盛期を迎えつつあります。一日当たりの生産量も増えてきており、そろそろ先が見えてきそうです。

 

 

先週、今期初の釜炒りを実施。島田貴庸君から、手摘み「ふくみどり」kamairi1.jpgを分けてもらいました。「ふくみどり」は萎凋性能が抜群な狭山茶品種。しかも早生。「釜始め」には最適です。

午前中に手摘みが終了。早速天日萎凋を開始。気温も風も最高の条件なので、早めに茶葉の上に紗を引き、陽光を調整。屋内に移し、手作業で揺青工程を行いながら、夕方より製茶に取りかかりました。明け方まで作業を続け、合計4釜分が完成。

 


 

平成24年度の一釜目はkamairi.jpg萎凋だけを行い、醗酵をはぶいた、釜炒り製緑茶です。原葉は三葉摘みではありません。そのためか、萎凋しきれなかった下葉が鮮やかな緑色のまま残っています。にぎやかな外観。芯の白色、完全に萎凋した一葉目の橙色、一・二葉目の黒色に変化した萎凋葉に混じり、緑茶であることを声高らかに主張しています。

 

さすがに「ふくみどり」だけあって、香気でも 味でも 甘い萎凋香が判りやすい釜炒り茶だと思います。それでも年配の同業者に飲んでもらったところ、「俺には きつくて、飲めない」と言われてしまいました。 

 

 

                   狭山茶専門店 備前屋 清水敬一郎