1月度.png夜明け前の東天には、木星、火星、金星、土星が集合し、あかつきの星空を賑わせています。元旦の木星に続き、月齢26の月が金星と土星に接近しました。淡い星の光をかき消す月光を厭う天文ファンは多く、私も月は細いほどに魅力を感じます。新月3日前の月は繊細で麗しく、お約束の地球照も認められました。その光芒は、金星・土星の輝きと良く調和します。mvs0.jpg位置が南よりで、高度が低かったので、地上の雑木林と一緒に撮影。その時は気づかなかったものの、流星もとらえていました。東の稜線が赤く染まるにつれ、夜空が徐々に青みを増し、地上の景色が明瞭になってきます。久し振りに冬らしい朝で、夜明けには、辺り一面が霜で覆われていました。

 

 

昨年のスリランカ視察で最も印象に残ったものの一つに、CTC 製法がありました。我が国でも昨今、緑茶用のCTC 製茶機が開発されたそうですが、緑茶も紅茶もCTC 茶葉にはさほど関心はなく、興味深かったのは大掛かりな製茶機械とその工程。萎凋以外の工程全てがライン化されており、均一の製品を安定して、しかも短時間で産み出せる、とても合理的な製茶方法だと感心しました。醗酵工程を別途設けず、mtvernon3.jpg全ての製茶作業をライン上で処理するため、総作業時間の短縮が可能であり、オーソドックス製法に比べ、かなりのコストダウンが図られているものと想像します。

 

 

改めて試飲しました。Mount Vernon Tea Factory (Dimubla)で購入した、BPS (Broken Pekoe Special)というグレード。5種類中、最も形状が大きい等級で、ティーバッグでなく、ティーポットで使用されるもの。数ミリの球状でチョコレート色の外観。よく観ると、繊維状のものが付着しています。これは「ケバ(棒皮)」なのか、mtvernon2.jpg「猫のひげ(茶葉が軸から離れるときの剥け代)」なのか、葉脈なのか ? 茶葉の色も形もほぼ均一で、興味をそそる要素に乏しい外観。ただし、省スペースで流通には優れた形状です。

 

 

水色は黒味のかった紅色。はっきりと濃度を感じる抽出液です。内質はとても良好。製茶工程を見学中に感じた、mtvernon.jpgいささか詰まったような“かおり”とは全く無縁の、特記すべき要素はないが、期待以上の香気です。CTC 製法の茶葉は切断面が多く、軟水では渋みが強くでるものと想像していました。ところが、角のとれた柔らかい味で、とても飲みやすい。飲後の清涼感は乏しいものの、多くの人に受け入れられる内質に思われます。余談ながら、茶殻は台湾製球状烏龍茶のように、爆発的に広がる事はなく、ごくオーソドックスなものでした。

 

 

Web Shopping でも、この製茶工場の製品を扱っているセイロンティー専門のサイトがあるので、日本でも人気のある茶葉なのでしょう。さすがに、高級セイロンティー産地“Dimubla”ものです。 

 

狭山茶専門店 備前屋 清水敬一郎