先月の金環日食に続き、今月は金星の日面通過がありました。心待ちにしていた天文現象です。何せ、100年に2回の機会しかないのだから。その希少性は毎年必ず起こる日食の比ではありません(ただし、日食は観測できる範囲が極く限定されるけれども)。今回を逃したら、次のチャンスはない・・・ ところが天気予報が見事に的中。朝からぶ厚い雲に覆われた空。それでも望遠鏡をセットして待機していたら、昼前に突如雲が切れ始めました。雲を透かして見える太陽に向け、夢中でシャッターを切ります。今回の天体ショーは6時間に及ぶ長丁場。後半部分は観測できるだろうと期待していたら、雨が落ち始め、とうとうギブアップ。金星が太陽のふちに接した時に起こる『ブラックドロップ』現象も、残念ながら観ることは叶いませんでした。それでも、ほんの一瞬といえども捉えることのできた金星像。想像よりも遥かに大きく、黒点よりもずっと黒く感じました。
撮影:平成24年6月6日 午前11時50分 於 日高市
荒茶仕上げの合間を縫って、釜炒り茶の再製を行いました。今回の目的は水出し用の仕上げ。保管庫から取り出し、袋の封を切る。立ち上る香気が、製茶時の乾燥工程で感じた“かおり” を思い起こします。原材料に選んだのは『ふくみどり』、『ほくめい』、そして『彩香(さいか)』の3種類。『彩香』は日高市内の茶業者が20年以上も前に移入した民間品種で、萎凋した時の香味が素晴らしい。今回タイミング良く生葉が手に入ったので、一釜分だけ釜炒りしたものです。製茶当日は天気も上々で、萎凋も良好。他の2品種に比較しても見劣りするところは全くありません。
釜炒り茶は蒸し製緑茶に比べ、とにかく柄が大きい。それは、焙茶が問題にならないほどの嵩張り具合です。このままでは急須に入れづらいし、それどころか 袋に入れるのすら時間がかかりそう。仕上げて形を整えなければ、商品として成り立ちそうにありません。
再製では 大き目の篩で廻してから、篩上を切断。茶葉が崩れないよう、静かに、ゆっくり、丁寧に。後は棒を処理してから、箕ぶきをし、透気乾燥機で火入れを施します。
やはり火入れを行うと、味の濃度が上るように思います。昨年のものより醗酵度を控えめにしているので、水色は薄めかなぁ。でも萎凋香は判りやすいかも。いずれにしろ、蒸し製緑茶とは全く異なる風合いの水出し茶には違いありません。
狭山茶専門店 備前屋 清水敬一郎