7月度.png七月になって、本格的な雨の季節を迎えたと思っていたら、いよいよ梅雨明け間近の様子。日中の気温は35度を突破。寝苦しい夜が続いています。mikoshi.jpg豪雨の九州地方に対し、少雨の関東地方。おかげさまで、夏芽の進捗は順調。先週で全ての製茶が終了です。先日、近所の八雲神社では「天王さま」の祭典が執り行われました。例年この日は強い陽射しのもと、汗をかきながら 式典にのぞんでいた記憶があるけれども、今回もやはり真夏日に。素朴なものながら、歴史の重みを感じさせる御神輿が境内に据えられ、雰囲気を醸し出し、神社の周りに設置されたmatsuri.jpg絵灯篭が祭りへの期待感を盛り上げます。絵灯篭は かって、御神輿と山車の巡航する街道に沿って立てられたもの。先年 山車の巡航が再開したのを機に、こちらも今年から復活です。近所の高萩小学校の児童に絵を描いてもらい、50基が製作されました。今週末、山車の巡航時には お灯明で照らされた子供達の絵灯篭が「高萩囃子」に一際 華やかな風情を添えてくれることでしょう。

 

 

平成24年度夏芽の最後を飾ったのは「おくむさし」でした。狭山最晩生品種で、駒井孝志君が管理する入間市小谷田産のもの。製茶工場全てが製造を終了しており、全量を釜炒りで製茶しました。この茶園は昨年の春芽終了後、乗用台に仕立てたばかり。おかげで摘採が遅い割には芯が立った、節(せつ)のある茶葉。つやがあり、葉肉も厚く、色沢も良好。春芽ほどには暴れていないし、軸が短いこの品種は釜炒りに最適です。なんといっても、萎凋香性能が良好な上、個性的なその味が釜炒りでどう生きるのか興味津々。

 

この日は気温・陽射しとも良好な上、茶畑より茶葉が到着したのがちょうど正午の時間帯。okumusashi2.jpg条件が揃いすぎたのか、30分間の天日干しにもかかわらず、あっという間に萎凋が進行してしましました。早々に屋内に移動。揺青しながらも、茶葉から流れ出る香気に思わず笑みが浮かびます。他のどの品種とも違う芳香。「ふくみどり」の軽やかで、無条件に甘い香気にくらべ、芯のあるどっしりとした萎凋香。「さやまみどり」直系の、優れた香気のDNAを感ぜずにはおれません。

 

 

せっかくここまで萎凋したのだから、最後のロットは醗酵度を高めて、俗に言う「半醗酵茶」に製茶。今季も何回か挑戦してみたものの、なかなか気に入ったものができなかったので、文字通りのラストチャンス。いままでは醗酵度合いを上げることにより、せっかくの萎凋香をokumusashi3.jpg台無しにしていたような気がして・・・ 濃度は上がるものの、不純物が混じったような冴えない香気。その対策を色々と練っていたので、試 してみる好機です。

 

最終工程、乾燥機から流れ出す香気は上々でした。早速試飲。味はちょいと大人し目ながら、醗酵の浅い茶葉のグリーンノートとは明らかに異なる、柑橘系の香気を感じます。これはいままで味わったことのない“かおり”。萎凋香がまっすぐに届く、澄んだ香気です。
 

 

水色は・・・ 若干うすいかなぁ。

 

 


 

                  狭山茶専門店 備前屋 清水敬一郎