狭山茶産地を西から東北へ流れる入間川。飯能から入間、狭山、川越を経て荒川に合流。狭山市には富士見橋(本富士見橋・新富士見橋)が架かり、名前どおり富士見のスポットになっています。私の町内会は富士見町自治会と呼ばれ、子供の頃は富士山を眺めつつ登校した記憶があるものの、今 望める場所は皆無となってしまいました。自宅から2kmほど離れた場所に絶好のスポットがあり、撮影に通っています。正月には黒い山肌が目立っていたのが、今月になってからは例年通りの真っ白く神々しい姿が現れました。武蔵野から観る富士は白い姿が良く似合う! 地上には薄明の闇が残る中、白い山容だけが陽光に輝いている・・・ そんな夜明け直前の時間帯が特に美しい。ここからは手前に樹木が目立つので、撮影には焦点距離の長いレンズが欲しいところ。使用機材は口径50mm 焦点距離400mm 2 枚玉アポクロマート屈折望遠鏡。28年間使用している愛機です。この日は北寄りの強風で、山頂付近で雲と雪が吹き飛ばされているのが観測できました。さすが天体望遠鏡 !!
平成27年度入荷した野木園手摘み茶は、全荒茶数量の2%未満。それでも、手摘み原材料を多く扱っている産地問屋の一つだと思っています。いかに、現在の日本茶業が機械による摘採に支えられているのか、思い知らされるというもの。短時間で均質の茶葉を収穫できる「はさみ摘み」は日本茶業界の誇る、このうえない省力化・合理化技術に違いありません。摘採機の開発だけでなく、機械の働きに合わせて施す茶樹・茶園管理が大前提の、総合的な技術力が必要なのだから。
年間13 品種が入荷する荒茶で、最も数量の多いのは『やぶきた』種。この品種を栽培していない取引先は皆無ゆえ、「はさみ摘み やぶきた」は各生産家の精鋭達が集う茶種です。その中で、常に印象に残るのが入間市新久 間野善雄製。その茶園は茶業公園の北側にあり、通称『根通り』でも第一級の地区。パステル調の明るい生茶葉は製茶工場の長いひさしの下に静置され、生葉置場にて地下風送システムにより萎凋工程を施される。そして、こだわりの『高林式粗揉機』により丁寧に揉まれ、狭山茶には珍しい青みのかった色沢の荒茶が産み出されます。一見、あか抜けない形状の狭山茶。でもその内質は、茶葉の外観と色沢と水色重視のために 蒸し度と揉み込みを追及した煎茶達とは一線を画し、火香を前提とする茶とは嗜好を異にする狭山茶です。
葉切れの少ない茶葉のもたらす、濁りとは無縁の抽出液。『やぶきた』の持つ圧倒的な味の奥から、萎凋香が饒舌に語りかけます。抽出液がのどを過ぎると、一瞬にして口中から味が引き、萎凋香の余韻と清涼感がいつまでも響いている・・・ 深蒸し全盛時代の狭山茶にあって、あらゆる意味で、これほど端正な「はさみ摘み やぶきた」が他にあるだろうか!?
狭山茶専門店 備前屋 清水敬一郎