七月になってからも涼しい日々が続いたものの、先週末の台風から気候が一変。連日の真夏日。今日は日中屋外の温度計は37℃を示していました。今夜は間違いなく熱帯夜。それでも梅雨明けは来週なのだとか。もっとも例年の梅雨明け直後の酷暑を思えば、一日でも遅いほうが助かります。
今年も「緑のカーテン」はゴーヤと朝顔。連日の好天と高温で、花が咲き始めました。今年の朝顔は「ケープタウン」という種類。ほのかにブルーがかった白い花びら。中心から花弁に沿って放射状にマゼンタ色のラインが伸び、花の表と裏側では色の印象が全く異なる不思議な朝顔。この品種は その淡い水色が清涼感を感じさせ、「緑のカーテン」にふさわしいかもしれません。
備前屋の夏の定番商品『荒茶』。その原材料で重要な役割を演じている『ふくみどり』。今年度使用しているのは島田貴庸製で、「被せ」を施した茶園から摘採されたもの。遮光率の高い碾茶用資材を使用したためか、ほんの3~4日間の「被せ」にもかかわらず、その効果は絶大でした。
押さえてもらったにもかかわらず、蒸し度が高い外観。もともと蒸しの通りやすい『ふくみどり』が「被せ」によって、茶葉が一段と柔らかくなったのでしょう。そして 水色が通常のものとは、明らかに違う。青系統の色合いが極めて強く、濃度のある抽出液です。本来は若干黒味を感じる、あか抜けない色なのに・・・ まるで宇治の碾茶品種のよう。
さらにこの荒茶は十分な萎凋処理が施されており、香気も上質。この茶を見る限り、「被せ」と萎凋の相性には全く問題がないと思われます。さらに『ふくみどり』には豊かな品種香があるので、私達狭山茶業者が敬遠する「カブセ臭」とも無縁。元々の品種香に萎凋香が付加され、「被せ」の効果と相まって、従来とはひと味違う荒茶が誕生しました。
どちらかといえば、『ふくみどり』は香気の品種。味は淡白だし、水色も秀でたところは少ない。それでも「被せ」で一手間、そして萎凋で一手間かけることにより、均整のとれた、質の高い茶が産み出されました。暑い時季に飲む茶は「火入れ香」主体では やりきれない。さわやかな香気があり、清涼感が口中に残り、見た目にクールな青系統の鮮やかな水色がほしいもの。
『ふくみどり』+「被せ」+ 萎凋香は 夏にふさわしい狭山茶の筆頭になりうる要素があります。
狭山茶専門店 備前屋 清水敬一郎