8月度.png八月になっても高温は相変わらず。35℃を越えるどころか、日中の大気は明らかに体温よりも髙く、梅雨明けから続く気温上昇もピークを迎えています。まるで太陽がすぐ傍らで輝いているかのような毎日。それでも午前中の木陰では、まだ ましでしょうか。この季節 もみじは緑が濃く、kokage.jpgわずかな風にも反応し、揺れ動く木漏れ陽は涼しげに映ります。昨日は立秋。朝夕はヒグラシの声が聞かれるようになりました。

 

 

釜炒り製微醗酵茶の再製に取り掛かりました。新茶前に台湾で学習したことを取り入れながら迎えた、新たなシーズン。留意点その一、直射日光下での茶葉の取扱い。その二、最終揺青のやり方。その三、静置時間の判断。その四、揉捻での茶葉チェック方法・・・etc.  台湾の製茶現場で取ったメモを確認し、kohaku26.jpg事前に全ての工程でストーリーをつくってから作業に臨みました。

その結果、荒茶生産量は昨年の五割増。天候にも、茶葉にも、摘採のタイミングにも恵まれ、質・量ともに昨年を上回ったと感じています。

 

 

今回手掛けたのは手摘み『ふくみどり』。初釜で製茶した今期の第一号。当日は陽射しも、気温も、風も三拍子そろった、最高の萎凋日和でした。野木園の手摘み茶葉は大きく、太く、 とても柔らかな手触り。水分含有量が明らかに多く、kama.jpg萎凋し甲斐があるというもの。ストーリー通りに工程を踏み、そして最終揺青終了時の香気は極めて良好でした。


出来上がった荒茶で一番印象的なのは茶葉の外観。あくまでも濃度の高い萎凋葉の色沢。パステルカラーと呼べるほどに明るい下葉の色。香気の失われた赤い茶葉は皆無で、全体的に端正な色合をしています。

そしてあくまでも淡く、澄んだ水色。それと裏腹に くっきりとした萎凋香。

 

 

萎凋・揺青工程での処理が適切だった証しであり、台湾で学んだ成果であろうと思います。

 

 

           

           狭山茶専門店 備前屋 清水敬一郎