連日、早朝の気温は氷点下。冬晴れと乾燥の典型的な武蔵野の冬が続いています ・・・ と思っていたら、大寒に前後して二度の降雪がありました。昨年同様、年明け初のお湿りは雪。それでも前年より二十日早く降ってくれました。しかも しみ込みやすい、水分をたっぷりと含んだ重い雪。身体にも、茶園のためにも、ありがたいお湿りです。
水はけの良い土地を好む茶樹。ここ武蔵野野辺は茶の栽培に適した土地に恵まれた、起伏のある丘陵地帯が広がっています。それだけに、夏の日照りと冬の乾燥は気になります。特に冬季は晴天日数が抜群に多く、しかも季節風が強い気象条件の土地柄。来るべき新茶期に大いに活躍してもらうよう、茶には十分に休養を取ってもらいたいこの季節。そのためにも充分なお湿りを期待してしまいます。
前夜7時過ぎに落ち始めたのは湿った ぼたん雪ながら、かなりの量が降ってくれたようです。低温が続いたせいでしょうか。路面はバリバリに凍結。庭の積雪はそれほどではないものの、茶畑は真っ白に姿を変えていました。茶樹を一面に覆いつくす雪が雑木林から射し込む陽光に照らされ、蒼白く輝いています。茶に大いなる恵みをもたらすであろう雪。久方振りに巡り会った白い茶園。肌を刺すような冷気と相まって、すがすがしく 新鮮な景観に 見入ってしまいます。
この時季、狭山の茶樹は休眠中。茶葉は葉緑素を控えたような地味な色あい。それを白く染め抜いた雪。畝間が凍結してしまう恐れはないので、安心して見ていられる景色です。まるで別世界のよう。
狭山茶専門店 備前屋 清水敬一郎