2月度.png今月になって二度目、そして二週連続で水曜日の雪。早くも今年三度目の降雪です。yuki3.jpg当たり年でしょうか。夜半過ぎに降り始めたものの 明け方には雨に変わったため、今朝は手間いらずでした。雪かきも不要なので、夜明けを待って白髭茶園へ直行。茶樹にはシャーベット状の雪が残り、朝日を浴びて白く輝いています。茶園脇の雑木林には靄がたち込め、木々の隙間から斜めに差し込む日差しを映し出していました。梢から落ちる雫は陽光にきらめきます。夜明けと共に、yuki1.jpg一斉に雪解けの活動を開始したようです。急激に気温が上昇しているのでしょう。春が近づいているのを感じます。この幻想的な風景も 日が昇るにつれ、ほんの短時間で姿を消してしまいました。

 

 

『春のお茶』を発売。昨年イベント用に試作・販売したところ、好評を博したので、今年は季節商品の定番として育てるべく、腰を据えて合組を行いました。テーマは明るく 希望に満ちた、華やかな季節を迎えるにふさわしい狭山茶。基本はもちろん萎凋香の煎茶。目指すは伸びやかな外観、にごりの少ない明るい水色、さわやかな香気、harunocha2.jpg暖かみのある味・・・といったところでしょうか。使用する原材料は100%根通り産の『やぶきた』、間野善雄製と島田貴庸製の『ふくみどり』。そして市川喜代治製の『ゆめわかば』。全て萎凋香充分の精鋭達です。

 

 

 

サントリー ブレンダー室 チーフブレンダー輿水精一氏の言葉 「いろいろな原酒を混ぜ合わせていく時に、ぐっと味や品質に深みが出る瞬間があるんです。我々の評価からすると、評価があまり高くない原酒。単品だとすごく癖が強くて扱いづらい、欠点だらけのものというのかな。だけどそれが少量入った瞬間に厚みや余韻がぐっと深まるんですね。そこに1+1=2では表せないブレンドの不思議な世界を感じます。」
(致知出版社刊『致知』2009年五月号より抜粋)

 

茶の世界でも、萎凋香という “かおり” を主眼にした合組においては、全体の5%をいじっただけでも、内質が劇的に変化する事があります。一口に萎凋香といっても、原材料それぞれが個性派ぞろい品種や製造者、摘採時の気象状況etc. で内質がガラッと変わりますから。
備前屋では、今まで萎凋香の材料といえば『やぶきた』と『ふくみどり』の二種類だったのが、harunocha1.jpg今回から『ゆめわかば』が参加。そのため 選択肢が増え、香味にバリエーションが加わり、口合(試験合組)の回数も飛躍的に増加しました。まるまる半日かかって一回目の合組が完了。


 
結果として、『ゆめわかば』の使用比率はさほど高くはないものの、その影響力は強いように感じます。味にも香気にも気品が加わり、引き締まった印象。水色もまずまずねらい通りではないでしょうか。
 

この時季の雪のようにではなく、末永く愛される茶に成長してほしいものです。


 

                  狭山茶専門店 備前屋 清水敬一郎