8月度.png八月半ばをすぎたというのに、一向に涼しさが感じられない今年の夏。「立秋をむかえ暦の上では・・・」という常套句すら躊躇したくなる猛暑が続いています。しかしながら四季を大切にする日本では、一足先に季節感を取り入れるのが習わし。備前屋でも進物の掛紙が「はぎ」に替わりました。

弊店の包装材料のテーマは武蔵野の風情。                                                                                   店の顔ともいうべき包装紙をはじめ、シールなどの小物に至るまで武蔵野に咲く草花や風俗・文化をモチーフに制作。包装紙の上を飾る掛紙はお客様や、贈り先様の目に最初に触れる大切なもの。時季に応じて8種類を用意しています。茶は菓子とは違って製品自体で季節を表現するのが不得手な食材。そこで商品名や包装材料に工夫を凝らします。

掛紙の作者は俳画家 来子耿太(くるすこうた)先生。武蔵野の自然を題材にした、季節ごとの俳画掛紙を数年間をかけて製作いただきました。初秋から中秋にかけての題材は萩です。もともとここは武州高と呼ばれた地。萩は昔から当たり前のように存在した樹で、日高市の花でもあります。先生はその辺りを配慮され、題材に選ばれたのでしょう。
「茶を淹れてさゆれる萩をしみじみと」の俳句に萩とススキが描かれています。淡いながらも温かみを感じる花の色合い。ゆるやかにしだれる萩の枝がおだやかな秋風に静かにゆられる風情が伝わり、まだ浅い秋の訪れを感じさせます。掛紙はぎ.jpg
                                  来子耿太作 掛紙「はぎ」

ところで庭の萩は猛暑の影響かまだ花の素振りもありません。
早く赤紫色の花が愛でられるよう、涼しくならないでしょうか。

              狭山茶専門店 備前屋 清水敬一郎