気温が上がってくると、人は香気を感じにくくなると聴いたことがあります。確かに新茶期と同じものを飲んでも、夏季は感動が少ないのは、熱い飲み物がほしくないだけではないようです。
今月初めての再製は5月10日市川喜代治製ふくみどり。いつもながら市川君の製造はつくりが丁寧で荒茶も美しい。黒い棒がきれいに伸びていて、端正に製茶された狭山茶の美点を、外観にも手触りにも感じます。もちろん萎凋香は抜群。
のびやかな外観を損なわないよう大きめの篩で仕上げ、火入れは萎凋香に頑張ってもらえるよう少々考えて・・・。結局、新茶時期より火入れ温度を若干下げて、処理時間を伸ばすことにしました。
じっくり火入れで、恥ずかしがりやの萎凋香の目を覚ますことができるでしょうか? この時期ふくみどりの萎凋香には期待してしまいます。
試飲ではまずまずだけど、“火”が落ち着いてからどうなるか。結果が芳しければ早速「霞野」に使う予定。数日後の試飲が楽しみです。
狭山茶専門店 備前屋 清水敬一郎