7月度のコピー.png熊谷市が岐阜県多治見市とならんで日本最高気温を更新して以来、埼玉県は猛暑の代表地としての印象がすっかり定着。熊谷市はそれ以前から「あついぞ!熊谷」キャンペーンを行っていて、夏の暑さもまた良し、でしょうか。それにしても梅雨明けからの約10日間は流石「大暑」と讃えるしかない毎日。

という訳で水出し煎茶です。以前は抹茶入りティーバッグを流用していました。水による抽出のしづらさを抹茶で補うという発想で、抽出液の濃度調整という点では悪くないし、抹茶の風味が付加されるのも利点です。でも嗜好品としての質を問われると・・・?

そもそも日本茶は水で抽出する前提でつくられていないので、「お湯出し」に比較し、味も香気もいま一つといったところ。熱くすると馬脚を現すペットボトル緑茶とは正反対で、嗜好品ならではの悩みでしょうか。萎凋香も香気の本領を発揮できないし、火入れ香に至っては香味のバランスがくずれ、生臭さ味(?)すら感じることも。「水出し」では、蒸し製法の煎茶の限界を感じていました。
 

ところで玉露ですが、もともと低温で淹れる茶で、「被せ香」があり、水色も良好と「水出し」には最適の素材。昨年、京都府農林水産技術センター農林茶業センター茶業研究所主任研究員南野貴志氏の「碾茶・玉露の生産技術・品質鑑定」をテーマとした研修を受講する機会があり、玉露の水出しについての可否をうかがったところ、「ひとつの理想です」との回答をいただきました。

島田貴庸君が碾茶品種「ごこう」の春芽に23日間被せを施し、製茶した玉露を再製。頭・茎・粉等の「出物」を徹底的に取去り、本茶分水出し玉露TBサイズ比較.jpgのみを水出し用ティーバッグとして加工。本茶分は浸出が良好で、吸水性が高く、茶殻が大きく膨らむので、特大サイズの、”でかでか” ティーバッグに加工しました。

左 通常サイズ、右 水出し玉露の"でかでか"ティーバッグ

 

「ごこう」のちょっと気取った品種香と同時に漂う淡い被せ香、玉露のほのかなアミノ酸の甘み、澄んだ若芽色の水色等、品が良くねらい通りの「水出し」狭山茶の誕生です。

水出し玉露抽出.jpg
   800ml.の水を用い、冷蔵庫で一晩「水出し」した水出し玉露

暑いときの嗜好品としてふさわしいと思います。
ただ、よく言えば「品が良すぎる?」・・・「薄すぎる」と感じる人もいるかも。

 

                 狭山茶専門店 備前屋 清水敬一郎