2月度.png相変わらず雪の予報が出るものの、なんとか踏みとどまっている昨今の空模様。日中は寒いけれど、早朝の気温が零度を超える日も多く、明らかに昨年・一昨年よりも最低気温が高く感じられます。先週はかなりまとまった降雨があり、茶園は乾き知らずの冬を過ごしています。雨の翌朝は冷え込んだものの、気温は順調に上昇。asamoya2.jpg茶園脇の雑木林では、朝日が差し込み、濡れ落葉から靄を立ち昇らせていました。春が少しずつ近づいているを感じます。

 

 

私の所属する狭山茶商工業組合は狭山茶を扱う茶商の団体。定期的に組合員が集い、市が開かれます。会場である埼玉県茶業研究所の好意で、新品種の求評会が開かれました。kyuhyou.jpg出品されたのは普及が進みつつある『ゆめわかば』と農林登録直前『おくはるか』の 2 品種。それぞれ荒茶と仕上茶の計10点が対象となり、水色・香気・滋味の 3点で拝見が行われました。

 

 

茶商が一番注目するのは、品種の特性が自らの嗜好に合うかどうか。kyuhyou2.jpg『ゆめわかば』は前評判どおり、萎凋香の評価が高いようです。資料茶の中に、カブセを施した深蒸しがあり、これがとんでもなく鮮やかな萎凋香をまとっていました。期待がふくらみます。

『おくはるか』は昨年に引き続き 2度目。一番の特徴は桜葉の香気。昨年の資料茶に比べ、その香気が弱いような 作柄なのか? 慣れのせいなのか?

 

 

昨年の新茶期、一釜だけ製茶した『おくはるか』。この求評会を機に再製を実施。萎凋工程では従来の品種とは異なる香気を放っていた 少々地味で控え目ながら、スパイシーな印象の萎凋香でした。仕上がった外観は若干黒めで、白豪が控えめ。肝心の香気はエッジの利いた、刺激的な萎凋香。そして切れの良い味。お気に入りの『ふくみどり』が口中に旨みが漂うのに対し、スパッと余韻を断ち切るようなドライな味。でも悪くない。それどころか、味の余韻がない分、香気を感じやすい。

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他に無い香気成分を含むからには、個性ある萎凋香を引き出せる可能性があります。その成り立ちを遡れば、埼玉県の農林登録第 2号『おくむさし』に通じる系統を含んでおり、その強烈な個性を受け継いでいるかもしれない… とても楽しみ。

 

 狭山茶専門店 備前屋 清水敬一郎