「黄色 黄緑 白緑 淡卵色 ひわ萌え木色 若竹色 菜種油色 若草色 金絲雀色… いくらならべてみても追いつかない むせかえるほどの新緑 を かぶった野山が 生きている」
(平成27年4月27日産経新聞 朝の詩より)
早朝 白髭茶園に行くと、先日新聞で、ふと目に留まったこの詩を実感します。雑木林の若葉、針葉樹の緑、道端の草、そして茶畑の新芽、様々な生命の色であふれています。平地林のすぐ脇にあるこの手摘み園、木洩れ日を浴びた部分が、まるで舞台に当てられたピンスポットで浮かび上がった役者のよう。鹿児島から始まった新茶期がもうすぐ狭山を訪れます。いよいよ真打の登場です。
約三反歩の白髭茶園は全て手摘み専用の野木園。品種は『やぶきた』で、萎凋香手摘み原料の供給がその役割でした。「釜炒り」に手を染めてから、存在意義が一変。「釜炒り製微醗酵茶」用手摘み原葉の供給源としての必要性が出てきました。
【ゆめわかば】
一昨年改植したこの品種は、直後の夏の乾燥にも、昨年の大雪にも耐え、元気いっぱい。直立型の樹姿は、私の身長に届かんばかりに成長。先週ワイドスクリーンを掛け、初の手摘みに備えます。平成24年度、市川喜代治氏が製茶した気品のある萎凋香に感動し、狭山の上級茶を支える品種と確信。あれ以来ご無沙汰しているこの品種。収量の関係から「釜炒り」用になると思われます。あのときの感激がよみがえるでしょうか。
【ふくみどり】
萎凋香性能が抜群で、現在、釜炒り製法に最適な狭山品種だと考えています。『琥白』が「世界緑茶コンテスト2014」で最高金賞を受賞できたのも、『ふくみどり』の功績かもしれません。あいにく寒さに弱く、防霜ファン設備のない白髭茶園には高嶺の花でした。幸い昨年設置が叶い、満を持して、今月新植を実施。幸い、作業翌日から数日間雨が続き、今のところ順調に推移。
【やぶきた】
平地林沿いの一等地は『やぶきた』が占めています。雑木林は、冬の季節風をさえぎり、若葉の頃は木洩れ日を投げかけ、夏は強い陽光を和らげてくれます。この典型的な武蔵野の里山にある茶園は、繊細なこの品種を大切に育み、備前屋の上級茶を、萎凋香原料を私達にもたらします。今年の初摘みもこの茶園から。
真夏日だった昨日、茶摘み用のはかりの調整、手摘み用と運搬用籠の洗浄、萎凋用の茄歴とござの清掃と日光消毒を行いました。
後は、木洩れ日萎凋用のスクリーンの取り付けと、好天を祈るだけ。
狭山茶専門店 備前屋 清水敬一郎