3月度.png私の住む日高市は武蔵野が山に尽きるところ、関東平野と秩父盆地を隔てる奥武蔵の山々が始まる場所に位置しています。西の地平は山に覆われ 景観が良く、光害とも無縁で、西天を望むには絶好の観測地。現在、夕暮れの空には金星と火星が接近中。そこに月齢2 の細い月が顔を出し、日没後のひと時に彩りを添えます。月は細ければ細いほど美しく、二日月は三日月の百倍見応えがあります。moon venus mars.jpg西天が開けた場所にカメラを設置。あいにく西空低く薄雲がかかり、条件は好ましくない。天気の崩れる前兆なのでしょうか。火星は肉眼では見えないものの、宵の明星はさすがに明るく輝いています。本来なら、肉眼でもはっきりと判る地球照も見えず… 残念。それでも、3つの天体を同一視野に捉えることができました。

 

 

『琥白』用の再製が急ピッチで進行中。大切に保管していた手摘みの荒茶にも手を付けます。荒茶の封を切った時の感動は、再製を行うものの特権でしょうか。開封と同時によみがえる製造時の記憶。真っ先に目に飛び込んでくる茶葉の色と、鼻に訴える香気。この茶はそれが特に個性的です。褐色に変わった部分が目立つ茶葉。そして強烈な萎凋香。原葉は野木園の手摘み。ただし、「ふところ芽」と呼ばれる部分。それでも春芽の手摘み終了後にも、覆いを掛けたままで 大切に扱われた茶園。手摘み原葉確保のため、試験的に行ったものです。



製造は522日。当日の天候は晴れで、夕方は土砂降りの雷雨でした。あいにく当日は午後から外出の予定があり、1han2.jpg揺青を人任せにしたためか、あるいは静置時間の関係か、殺青時すでに葉焼けが発生していたのを思い出します。気温が高く、手摘み中にかなり萎凋が進行していたのかもしれません。試飲してみると、予想に違わず素晴らしい香気。萎凋の度合いでは、今季最高と断言して差し支えありません。鮮やかというよりも、濃度の高い萎凋香という印象。思わぬ伏兵の登場といったところ。


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昨年台湾で学習する前は、褐色の萎凋葉の目立つ製品を製造していたのを思い出すものの、これほど萎凋香の判りやすいものは記憶に無い。これも野木園の実力なのでしょうか。

 

 

 狭山茶専門店 備前屋 清水敬一郎