4月度.png一年振りの台湾 桃園県。昨年は台湾春茶の製造を通じ、半醗酵茶について、貴重な体験と多くの知識を得ることができました。chosei6.jpg今年も新茶前に経験を積ませてもらうべく訪れた『長生製茶廠』は雨に濡れていました。本来なら三月中に始まる春茶が雨不足により、四月にずれ込んだ由。そして今度は連日の雨。台湾初上陸の落合製乗用式茶刈機も、萎凋場の片隅で静かにたたずんでいます。勇躍来台したものの、完全な肩透かし。気を取り直し、chosei5.jpg規模拡大を図るべく新植した茶園を見学。苗木は2年生の『青心ターパン』、二条植え。溝が日本より深く、かなり趣が異なります。



製茶ができなくても、昨年同様、深夜までお茶をごちそうになります。

1.できたばかりのウンカ芽の緑茶『金萱』

   飲後、口中がとてつもなく甘い !

2.東方美人(全国第四届東方美人茶競賽 参等獎)

   入賞茶は初体験…複雑で分厚い萎凋香と蜜のような味

3.冬茶『青心ターパン』

   冬茶は初めて…喉の奥から甘い香気が立ち昇る

4.烏龍茶 春『白鷺』

   甘くキレのある味、小股の切れ上がった鋭い香気 !

5.緑茶手摘み 春『白鷺』

   烏龍茶バージョンより香気がおだやか

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次から次へと、浴びるほどに、ご馳走になります。それでもバラエティーに富むお茶達。飽きることなく、試飲が続きます。chosei4.jpg極め付けは林文経先生が取り出したチョコレート色の茶。53年前に閉鎖された工場に残っていたという烏龍茶 !  本来は緑色だったのだろうか、茶色と黒色の中間のような外観。一煎目はさすがに ほこり臭い。煎を重ねる… 清涼感・爽快感からは程遠いものの、それでもプアール茶よりもずっと親しみやすい味。chosei3.jpg保存状態が良好だったそうで、私にとっては、陳年茶よりも好ましい内質に感じます。驚いた事に、土産としていただいてしまいました。改めて火入れを施してから、試飲したいと思います。  



結局、滞在中雨は降り続き、製茶は一度もできず仕舞い。それなので最終日は憧れの茶芸館へ。三度目の台湾ながら、初めての台北観光。台湾を代表する服飾ブランドがプロデュースしたという、とてもオシャレな店。落ち着いた装飾の、リッチでハイソな雰囲気に満ちています。ポットも茶碗も茶托も茶器は全て白い陶器。chagei2.jpg白基調の店内装飾が間接照明の柔らかな光に映えます。ゆったりと流れる時間を感じながら、2種類の高山茶とフルコース(?) のスイーツで帰国前のひと時を楽しみます。chagei.jpg

 

 


突然決まった台湾行。二泊三日の強行スケジュールは全て雨という結果に。それでも生茶葉を扱わない分、じっくりと茶を観る事ができたように思います。特に緑茶と烏龍茶の違い…「醗酵度」の概念について。もっとも、知識としては理解できても、感覚で解るには時間がかかりそう。 

 

           狭山茶専門店 備前屋 清水敬一郎